事件ニュース

中国人研修生:賃金支払われず 県労連、縫製会社を労基署に告発 /徳島
 徳島市の縫製会社で働いていた中国人研修生7人が、国の外国人研修・技能実習制度で禁じられた時間外労働などをさせられたにもかかわらず、法定賃金が支払われていないとして、相談を受けた県労連が12日、この会社を徳島労働基準監督署に告発した。
 告発状などによると、7人は遼寧省出身の20~27歳の女性で、08年6月~09年11月に来日。肌着の縫製作業に従事していたが、
実質的な給料が最低賃金を満たしていなかったり、時間外労働でも法定の割増賃金が支払われていなかったという。未払い総額は約330万円に上る。

 申告を受けた徳島労基署も先月、会社側に未払い賃金を支払うよう勧告を行ったが、支払われていない。研修生側は近く民事訴訟も起こす予定という。
 一方、会社の代表者は「一部未払い金があるのは事実だが、研修生は契約に納得して来日した。大切に面倒みてきたつもりだったので残念だ」と話した。(毎日新聞 2011年5月13日)

ライフ・クライム見解
海外での雇用契約(給金・時間外労働賃金)は、来日後は適応になりません。
日本国での雇用に関しては、日本国の都道府県最低賃金が適応されます。(労働法)

外国人実習生:県内事業場、9割が法令違反--労働局まとめ /徳島
 徳島労働局のまとめによると、県内4労働基準監督署が昨年、中国などからの外国人技能実習生が働く64事業場に実施した監督指導で、労働基準関係の法令違反があった事業場が57に上ったことが分かった。違反率89・1%(前年比2・1ポイント増)は過去最高で、同労働局は「悪質な事案には厳正に対処する」としている。

 監督指導は、あらかじめ労働実態の情報を把握した上で毎年計画的に実施している。

 違反の内訳(重複含む)では、労働時間を把握していないなど賃金台帳に関するものが28件で最多。労働者名簿の不備(17件)▽実習生の寄宿舎の規則を労基署に届けていないなどの寄宿舎関係の違反(16件)--などが続いた。

 年1回の健康診断を実施していない労働安全衛生法関係の違反も26件あった。

 同労働局は、実習生が相談や情報提供をしやすいよう、中国語のパンフレットを作成するなど取り組みを進める。(毎日新聞 2011年5月12日)

労働審判:中国人実習生の解雇無効を認定-地裁/滋賀
 賃下げに反対したため野洲市内の縫製会社を追い出されたとして中国人実習生3人が申し立てた労働審判で、大津地裁は10日までに解雇を無効と認め、3人に実習終了日までの賃金各88万5000円を支払うよう同社に命じた。3人は最低賃金以下の給与で働かされたとして、差額など計約1500万円の支払いを求める損害賠償訴訟も起こしている。

 審判の決定は9日付。決定などによると、3人は江蘇省出身の29~35歳の女性で、07年12月から同社で働いていたが、昨年5月に給与引き下げに反対したところ解雇された。同社は「任意で退職した」と主張したが、石原稚也労働審判官は「一方的に賃金減額を要求され、拒否したところ解雇されたと認められる」と退けた。(毎日新聞 2011年3月11日)

労基法違反:中国人を低賃金雇用 容疑で縫製業者を書類送検/岐阜
 岐阜労働基準監督署は9日、中国人技能実習生を雇用していた岐阜市三田洞の男性縫製業者(66)と妻(63)を最低賃金法と労働基準法違反の疑いで書類送検した。

 同労基署によると、縫製業者らは、09年7月21日から昨年3月20日まで雇用していた中国人技能実習生4人に対し、当時の県最低賃金(時間額696円)を下回る賃金で働かせ、休日労働や時間外労働の割り増し分を支払わなかったなどの疑い。09年10月7日に同署の監督官が立ち入り調査した際、業者は虚偽の帳簿を提出するなどし、是正勧告したが改善されなかったという。(毎日新聞 2011年3月10日)

外国人研修制度:中国人実習生過労死で提訴
 国の外国人研修制度で来日し、茨城県潮来(いたこ)市の金属加工会社「フジ電化工業」で働いていた中国人技能実習生、蒋暁東さん(当時31歳)が過労死した問題で、妻馮珠さん(34)ら遺族4人が、同社と受け入れ機関「白帆協同組合」=同県行方(なめがた)市=に約5750万円の損害賠償を求め水戸地裁に提訴した。

蒋さんは外国人実習生として全国で初めて過労死と労災認定され、遺族は3日、鹿嶋労働基準監督署で労災の保険金給付の一部として約1100万円を受け取った。しかし、遺族側は過重労働は「氷山の一角」として、監督義務のある受け入れ機関の注意義務違反も問うことを決めた。

訴状によると、蒋さんは05年12月に来日。組合を通じて同社に配属され、電気メッキ加工の作業に従事していた08年6月、急性心機能不全により社宅で死亡した。原告側は、同社は月約180時間に及ぶ時間外労働を常態化させ、組合は過労を放置、助長させたなどと主張している。

同社は今年1月、労基法違反(長時間労働など)の罪で罰金刑が確定した。(毎日新聞 2011年3月4日)

外国人実習生雇用:8割超す事業所で違反 超過勤務や賃金の不払い-県内/福井
 福井労働局は、外国人技能実習生を雇用している県内>約520事業所のうち、53事業所を抽出調査した結果、84・9%に当たる45事業所で、労働時間の超過や割増賃金の不払いなど労働基準法や最低賃金法などの法令違反があったと発表した。各事業者にはその場で是正を命じた。

 調査は昨年11月から今年1月にかけて行われた。法令違反があった事業所の割合は、07年度が94・4%▽08年度が88・9%▽09年度が85・1%--と年々減少傾向にある。だが労働局によると、法令違反と指摘を受ける事業所は、全産業で見ると全体の約6割で、外国人技能実習生にかかわる法令違反数の多さは際立っているという。

主な違反は、時間外・休日労働の割増賃金の不払い(37・7%)寄宿舎の消火設備や避難階段などの不備(31・7%)▽受け入れ時に賃金や労働時間などの労働条件を明示していない(24・5%)▽労使協定で定めた労働時間を超える長時間労働(20・8%)など。

調査対象の53事業所で働く技能実習生は計249人で、このうち中国人が約8割の198人。業種別では製造業が92・5%で、うち繊維関連製造業が7割超を占めた。(毎日新聞 2011年3月3日)



外国人研修生:「性的暴行受けた」 農家経営者らを提訴 千葉
 外国人研修生として千葉県旭市の農家で働いていた中国人女性が21日、男性経営者から性的暴行を受けたとして、経営者と1次受け入れ機関の「ちばみどり農業協同組合」に慰謝料など1100万円の支払いを求め千葉地裁に提訴した。原告側の弁護士らはセクハラなどへの対策が全く講じられていない研修制度に問題があるとして同日、厚生労働省などに改善を求める申し入れ書を提出した。

訴状などによると、女性は09年11月に来日。他の3人の女性研修生とともにトマト栽培などに従事した。男性経営者は作業中に研修生の胸や尻を触った。さらに女性に対しては10年6~7月、人目に付かないところで強制わいせつなどの性的暴行をしたという。女性は8月中旬に労働組合の保護を受けて逃亡。警察に被害届を提出した。

ちばみどり農協総務部は「事実であれば大変問題だが確認ができていない。訴状も見ておらずコメントできない」としている。(毎日新聞 2011年1月22日)


外国人研修制度:茨城の中国人過労死、初の労災認定 残業、月100時間超
  国の外国人研修制度で来日した中国人技能実習生が茨城県潮来(いたこ)市の金属加工会社「フジ電化工業」で実習中に死亡した問題で、鹿嶋労働基準監督署が違法な長時間労働による過労死として労災認定していたことが分かった。遺族代理人の指宿(いぶすき)昭一弁護士や同署によると、決定は昨年11月19日付で、外国人実習生の過労死による労災認定は全国初。指宿弁護士は「研修生の多くは過酷な労働をしており、氷山の一角」と話している。

この実習生は、同社でメッキ処理作業に従事し08年6月に心不全のため社宅で死亡した蒋暁東さん(当時31歳)。鹿嶋労基署は電話の通話記録や夜食の購入記録などから残業が月100時間を超える過重労働だったと判断。妻(34)に遺族補償年金などを支払う。

一方、麻生(あそう)簡裁は労働基準法(長時間労働、割増賃金不払いなど)違反罪で同社と社長(67)にそれぞれ罰金50万円の略式命令を出し、12日付で確定した。09年8月に遺族の労災申請を受け鹿嶋労基署が調査。麻生区検が昨年12月、同罪で略式起訴していた。(毎日新聞 2011年1月12日)


労災認定:役員暴行でPTSD発症 氷見の中国人実習生を認定--高岡労基署 /富山
 外国人技能実習制度で来日した中国人の女性実習生が、働いていた氷見市の縫製会社役員に殴られるなどの暴行を受けた事件で、高岡労基署は先月27日、女性が発症した外傷後ストレス障害(PTSD)について労災と認定した。

支援した外国人研修生権利ネットワーク・福井によると、女性は06年に来日して寮に入り、同社で研修を受け実習を続けていた。しかし役員らは09年6月に寮内で、パイプ椅子や手で女性を殴るなど暴行。女性は同ネットワークに保護されたが、眠れないなどの症状が出て、同年12月に労災申請していた。(毎日新聞 2011年1月9日)


中国人実習生訴訟:「実態見ていない」 控訴の原告ら、改めて判決を批判 /熊本
 中国人実習生3人が慰謝料などを求めた訴訟で、請求の大部分を棄却され9日に控訴した原告・弁護団は「実態を見ていない」と改めて判決を批判した。
原告・弁護団や支援者は熊本地裁前で門前集会後、控訴状を提出した。会見で代理人弁護士は「帰国した場合は多額の違約金が付けられる約束をして来日するため、受け入れ先の言うことを聞かざるを得ない状況がある。旅券が取り上げられたことなどが権利侵害と認められなかったが、実態が分かっていない」と憤った。
原告の馮桂芹(フォングイチン)さん(33)は「(裁判所が仲介団体の)協会の責任を認めなかったのは信じられない。これからも頑張っていきたい」と語った。(毎日新聞 2010年12月10日)


外国人実習生雇用:事業所の7割が違反 残業代不払いなど--労働局まとめ /岐阜
◇劣悪な環境浮き彫り 
外国人技能実習生を雇う県内の事業所のうち89事業所を県内7労働基準監督署が09年度に監督したところ、71・9%にあたる64事業所で残業代の不払いなどの法律違反があったことが岐阜労働局のまとめで分かった。実習生127人への不払い賃金の総額は4547万円(1人当たり約35万8000円)に及び、外国人技能実習生を取り巻く劣悪な労働環境が浮き彫りとなった。
同労働局によると、最も多く指摘されたのは残業や深夜労働による割り増し賃金の不払いで、全事業所の52・8%にあたる47件に上った。次いで、最低賃金以下の給料しか払わなかった違反が22件(全事業所の24・7%)指摘された。労働時間についての違反も12件(同13・5%)あり、中には1カ月の残業が100時間を超えた悪質なケースもあった。
こうした法律違反以外にも、事業所が実習生のパスポートや通帳などを取り上げたケースが4件あった。
今年2月18日には、中国人技能実習生3人に対し、09年1~4月に最低賃金を下回る2万円前後の月給しか払わず、5月からは給料自体を払わなかったとして、大垣労働基準監督署が繊維製品製造業者を労働基準法違反などの容疑で書類送検している。
県内では、愛知県に次ぎ全国で2番目に多い約9000人の中国人やベトナム人などの外国人技能実習生が働いている。だが、違反を指摘された事業所の割合は07年度が79・2%、08年度は69・8%と、高水準で推移しており、違反が横行しているのが現状だ。
岐阜労働局は「外国人技能実習生を雇う事業主には零細企業も多く、実習生を安価な労働力ととらえているケースが多い。法律に違反した業者を厳しく処分するのと同時に、説明会を開くなどして技能実習制度について理解を求めていきたい」としている。(毎日新聞 2010年12月11日)


残業代未払い:中国人、野洲の縫製会社を提訴 /滋賀
 最低賃金以下の給与で長時間労働を強いられたとして、中国人実習生3人が6日、野洲市の縫製会社「宮川縫製」(村上重一社長)と研修受け入れ先のびわこソーイング協同組合(同市)を相手取り、未払い賃金など計約1525万円の支払いを求めて大津地裁に提訴した。
3人はさらなる賃金引き下げに反対したため同社を解雇されたとして労働審判も申し立てているが、近く帰国するため支援者らが裁判を引き継ぐという。
3人は江蘇省出身の29~35歳の女性。訴状によると、07年12月に来日後、同社に住み込みで枕カバーなどの製作に従事した。月給は5~6万円で、月平均185時間の残業代は最低賃金の半額以下の時給250~300円だったと主張している。
同社は「弁護士に任せている」とコメント。同組合は「会社は『給料は契約通り支払っている』と説明していた。監査や指導はしたが見破れなかった」と説明している。(毎日新聞 2010年12月7日)


損賠訴訟:中国人元実習生が提訴 未払い賃金1億4300万円--地裁 /徳島
 上板町の縫製会社「ホープ」など県内の4社で働いていた中国人の元実習生ら女性計14人が30日、賃金が正当に支払われなかったとして、未払い賃金など総額約1億4300万円の支払いを求める損害賠償請求訴訟を徳島地裁に起こした。
訴状などによると、原告は、遼寧省出身の21~39歳で08~09年に順次来日し、今年8月まで各社に配属されて研修・技能実習をした。平均で月150~200時間の時間外労働をしたが、最低賃金法以下の賃金しか支払われず、残業代もほぼなかったという。
原告側の弁護士によると4社は実質的には同会社という。相談を受けた徳島労連などが8月から会社と交渉したが決裂し、10月に賃金未払いなどの認定を求めて高松入国管理局に申告した。
提訴について、同社は「対応できる人間がいないのでコメントできない」としている。(毎日新聞 2010年12月1日)


未払い50万円支払い命令…中国人実習生賃金訴訟
  外国人研修・技能実習制度で来日した中国人女性3人が、劣悪な労働条件で働かされ人権を侵害されたなどとして、阿蘇市や山都町の受け入れ農家と、1次受け入れ機関の社団法人などを相手取り、未払い賃金や慰謝料など計約1966万円の支払いを求めた訴訟の判決が26日、熊本地裁であった。原克也裁判長は、研修期間中の時間外作業に対する未払い賃金の請求のみを認め、受け入れ農家に対し計約50万円の支払いを命じた。原告側は控訴する意向。
判決によると、時間内の作業については、「研修内容を超えるとは認められず、労働者に該当しない」と指摘。「県内の最低労働賃金を下回る時給しか支払われず不当だ」とする原告側の主張を退けた。そのほかの請求についても、「既に支払われている」などとして認めなかった。
判決後に記者会見した原告の一人は「判決は許せない」と悔しさをにじませた。原告側代理人の村上雅人弁護士は「実態は労働者であり、最低賃金を保証すべきだ。実態を見ていない不当な判決だ」と述べた。(読売新聞 2010年11月27日)

最低賃金法違反:時間外賃金を一部未払い 疑いで枕崎の縫製会社を送検 /鹿児島
 中国人実習生3人に時間外労働の賃金の一部を支払わなかったとして、鹿児島労働基準監督署は17日、枕崎市の縫製会社「サツマソーイング」と実質経営者の男(75)を最低賃金法違反(最低賃金の不払い)などの疑いで鹿児島地検に書類送検した。この3人は今年3月、同社などに対し、未払い賃金支払いや慰謝料を求め鹿児島地裁に提訴、係争中。
同署によると、容疑は08年4月~09年7月、30代の中国人実習生の女性3人に、時間外賃金の一部計約405万円を支払わなかった、とされる。時間外の最低賃金は割増分を合わせ時給773円~783円だが、300~400円しか支払っていなかったという。実質経営者の男は容疑を認めているという。
同署は09年末に立ち入り検査していた。日本人労働者に賃金不払いなどはなかった。
同社は04年度から発展途上国の人材を育成する「外国人研修・技能実習制度」を利用して来日した中国人を雇用。この3人は07年4月~10年3月、同社で就労した。3人は提訴時「旅券などを取り上げられ、事実上外出もできないなど劣悪な環境で働かされた。違法な低賃金で労働させられた」と話していた。(毎日新聞 2010年11月18日)


中国人実習生:不当解雇を認定 野洲の会社、賃下げ拒否で--労基署 /滋賀
  賃下げに反対したため野洲市内の縫製会社を追い出されたとして、5月に中国人実習生3人が大津労基署に是正勧告を申し立てた問題で、労基署が不当解雇を認定し、同社に解雇予告手当の支払いなどを勧告していたことが分かった。3人は本来の実習期間だった12月までの給与計約250万円の支払いを求め、大津地裁に労働審判を申し立てている。
  支援団体によると、勧告は6月24日付。3人は29~35歳の女性で、07年12月の来日後に同市内の工場で最低賃金を下回る給与で働いたが、今年5月にさらなる引き下げに反対したところ解雇されたという。3人が請求していた最低賃金との差額計約450万円の支払いは勧告が見送られたため、3人は近く同社を相手取り損賠請求訴訟を起こす方針。(毎日新聞 2010年11月11日) 



IT不法就労:研修断念、IT利用 酒井容疑者、安価な労働力目的
  福岡県飯塚市の情報技術(IT)関連会社「マルテック」を舞台にした不法就労あっせん事件で、同市のスーパー経営、酒井優容疑者(31)=出入国管理法違反(不法就労助長)容疑で逮捕=が「昨春、外国人研修生としてカンボジア人を来日させようとしたがうまくいかず、IT技術者名目での入国に変更した」などと供述していることが、捜査関係者への取材で分かった。国の外国人研修・技能実習制度は外国人の不当労働の温床にもなっており、県警は酒井容疑者らが当初からカンボジア人3人を安価な労働力として入国させたとみている。
捜査関係者によると、酒井容疑者は昨春、福岡県久留米市のスーパーチェーン「くるめチマキヤ」社長の宮崎貴吏(たかし)容疑者(40)=同法違反容疑で逮捕=から「安い労働力がほしい」などと相談を受け、外国人研修・技能実習制度を利用してカンボジア人を来日させようと計画したという。
だが、研修生受け入れには中小企業でつくる事業協同組合などの仲介団体が必要になるため、酒井容疑者らは研修制度の利用を断念。既に外国人IT技術者の受け入れで実績があった知人で「マルテック」社長のリム・ウィイ容疑者(40)=同=に相談したところ、リム容疑者が「うちで受け入れて出向させればいい」と応じ、カンボジア人3人を同社のIT技術者としてビザを取得させる計画に変更したという。
一方、リム容疑者はあっせん計画に加わった背景について「08年の金融危機以降、経営が思わしくなかった。宮崎容疑者から『カンボジア人を来日させれば、自社が開発中の商品管理システムを導入する』と言われた」と供述しているという。
県警は、あっせんによる利害が一致した宮崎、リム両容疑者を、カンボジアに人脈がある酒井容疑者が仲介したとみている。
事件では3人の他、宮崎容疑者の実弟で「チマキヤ」役員の陽吏(ようじ)容疑者(36)も同法違反容疑で逮捕された。
外国人研修・技能実習制度は「技術移転による途上国への国際貢献」を目的に国が創設したが、低賃金や長時間労働など違法な実態が各地で問題化している。(毎日新聞 2010年11月7日) 



中国人研修生:賃金未払い認定を 高松入管に申告 /徳島
 上板町の縫製会社の工場で働いていた中国人研修生ら14人が27日、国の外国人研修・技能実習制度で禁じられた研修時間外の残業や人権侵害の疑いがあるとして、会社側の賃金未払いや不正行為の認定を求め、高松入国管理局に申告した。
申告書などによると、遼寧省出身の23~39歳の女性14人で、08年5月~09年11月に来日した。午前8時から午後10時まで労働を強いられ、休みも月1回程度しかなく、残業代や深夜手当は支払われなかったという。
また、研修生らは数人ごとに別々の会社で働くことになっていたはずが、実際は全員がこの会社だけで勤務。事故にあった際の保険金を会社が受け取ったり、「嫌なら帰国しろ」と言われたこともあったという。
研修生らから相談を受けた徳島労連によると、8月から弁護士らを通じ解決策を模索したが、未払い分について会社側が「払えない」と回答したため申告した。(毎日新聞 2010年10月28日) 

賃金未払いを不正申告へ 中国人実習生14人で約4600万円 徳島労連
  徳島労連は26日、外国人研修・技能実習制度で来日し、徳島県上板町の縫製工場で働いていた中国人女性14人が賃金未払いなどの不正行為を受けたとして、27日に高松入国管理局高松市に申告すると発表した。
申告書によると、14人は平成20年5月~21年11月に来日。午前8時から午後10時ごろまで作業させられ、休日は月に1日程度だったのに、時間外や休日、深夜の労働に対する割増賃金は支払われなかった。
労連によると、未払い賃金は14人で計約4600万円に上る。企業側に支払いを求め提訴することも検討している。(産経ニュース 2010年10月26日) 



提訴:中国人元技能実習生5人、未払い賃金求め 時間外争点1503万円 /茨城
  ◇地裁下妻支部
外国人研修制度で来日し、八千代町の食肉処理加工販売会社「高井産業」(青木大二郎代表取締役)で働いていた中国人元技能実習生の男性5人が12日、同社に時間外労働の未払い賃金計1503万円の支払いを求めて水戸地裁下妻支部に提訴した。

 県外の養鶏場までトラックで移動した往復十数時間を出張手当だけですませる会社に対し、時間外労働として認定するよう主張したもので、原告側代理人は「日本人がやらない仕事を外国人実習生にやらせている」と指摘している。【杣谷健太】
  外国人技能実習生を当事者とする訴訟が現在、全国で約30件行われているが、時間外労働の解釈を巡って争うのは珍しい。
訴えたのは、中国山東省出身の燕洪翔さん(24)ら5人で、「食肉解体」の技術を学ぶ目的で07年3月に来日した。業務は、県外の取引先の養鶏場で鶏を捕獲し運搬することで、ほぼ毎日養鶏場との往復に費やされた。

 青森への出張の場合、往復で約16時間かかるが、運転手ではないため、最大4000円の出張手当が付くだけだった。訴状などによると、燕さんらは「移動中も指揮命令に服している」と鶏の健康管理などの業務にあたっていたと主張している。
原告側弁護人によると、燕さんらは今年1月下旬ごろ、下館労働基準監督署に相談。しかし、労基法上の一般的解釈として「移動時間は労働時間ではない」と言われたため、同年2月、「外国人研修生問題弁護士連絡会」に連絡していた。
同社とのトラブルが表面化する中、燕さんらは契約を1カ月残し、2月に帰国した。燕さんは電話取材に「部屋で寝る時間がなくて、毎日疲れて気持ち悪かった」と話す。
訴えに対し同社は「訴状を見ていないのでコメントできない」と話している。
茨城労働局によると、移動時間の労働認定は「移動中、どの程度の業務を負わされているか」によって判断されるという。

  原告側代理人の指宿昭一弁護士は「実習生は工場で働く約束で来日しており、長時間の移動は想定外。安い出張手当の適用はおかしい」と指摘している。(毎日新聞 2010年10月13日) 

提訴:中国人実習生3人、「賃金未払い」と 工具会社に295万円求め /岡山
  中国人技能実習生の女性3人が4日、賃金がきちんと支払われなかったなどとして、美作市の工具製造販売会社「オサカダツール」(小阪田泰彦社長)に対し、未払い賃金約295万円を求める訴訟を岡山地裁津山支部に起こした。
 訴状などによると、3人は07年8月に旋盤の研修生として来日、9月から同社で研修を受けた。研修生は労働できないにもかかわらず労働させられ、しかも残業に見合った賃金が支払われなかったと訴えている。
  新たな外国人研修・技能実習制度が今年7月に始まったが3人は旧制度で研修・技能実習を受けた。1年目は研修で労働できず、2、3年目は実技試験に合格すると技能実習になる。3人は、1週間だけ日本語や日本の習慣について座学研修を受けただけでその後労働に従事させられ、賃金は、県の最低賃金を下回ったなどとしている。  
  同社の小阪田泰彦社長は「訴状が届いておらずコメントできない」としている。(毎日新聞 2010年10月5日) 

西尾の2社、中国研修生と和解 賠償訴訟「労働認める内容」
  西尾市内の企業2社で研修した中国籍の男女3人が労働者の勤務実態がありながら、法令の定める最低賃金を下回る手当で働かされたとして名古屋地裁岡崎支部に起こした損害賠償請求訴訟は、2社が請求額の70%を支払うことで和解した。3人を支援する労働組合「西尾ふれあいユニオン」が22日、会見して明らかにした。  
   訴えたのは、外国人研修・技能実習制度で2006年6月に来日した20~30代の3人。うち2人は繊維染色会社で、1人は繊維加工会社で1年間、研修した。
訴状によると、3人は研修期間中に染色や機織りなどの労働を割り当てられ、禁止されている残業にも時給300~350円で従事。それぞれ月6万円の研修手当が支払われたが、最低賃金に基づく給与の4~5割にすぎないとして、1年間の差額に当たる計464万円を求め、昨年9月に提訴した。
同ユニオンの谷田部仁夫代表は「今回の和解は、研修生も実態に即して労働者として認めるという内容。労働賃金の時効2年の枠を超えて損害賠償請求の道を開いた」と評価している。 (広中康晴) 


解決金240万で和解成立 中国人元実習生と龍田紡績
国内初企業単独型訴訟
  外国人研修・技能実習制度で来日した元実習生の中国人女性3人が、受け入れ先の龍田紡績(兵庫県姫路市)の熊本工場で不当な扱いを受けたとして、慰謝料など計約520万円の支払いを求めた訴訟は14日、同社が解決金計240万円を支払うことなどで、熊本地裁で和解が成立した。  

   原告側の関係者によると、和解条項には「研修制度の運用で、龍田紡績側が制度に反していたことを認める」との文言も盛り込まれた。
3人は2006年から3年間、熊本県御船町の同社工場で働いていたが、寮費を不当に高く徴収されたとして、慰謝料などを求めて09年3月に提訴。窓口となる団体を通さず、企業が海外から直接人材を受け入れる「企業単独型」としては唯一の訴訟だった。
原告の女性(37)は「1年半は長かったが、ようやく決着してうれしい」と笑顔で話した。(2010年9月14日 産経新聞)


受け入れ窓口の責任、高裁も認定 外国人実習生訴訟
 低賃金、長時間の違法な労働を強いられたとして、外国人研修・技能実習制度で来日した元実習生の中国人4人が受け入れ窓口のプラスパアパレル協同組合(熊本県小国町)に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は13日、計440万円の支払いを命じた一審熊本地裁判決を支持、同組合の控訴を棄却した。  
  判決理由で西謙二裁判長は「窓口機関である同組合の重要性や、監査・指導を尽くしていれば受け入れ先の業者の不法行為の継続を防止できたことを考えると、同組合には業者と同額の損害賠償義務がある」と述べた。
熊本地裁は1月の判決で「業者の十分な監査をせず、入国管理局への報告も事実に反し極めて不十分」と述べ、この制度をめぐる訴訟で窓口機関の賠償責任を初認定。同組合と受け入れ先の縫製業者=同県天草市、倒産=に損害賠償の支払いを命じた。
判決によると、4人はいずれも20代女性で、2006年に来日。07年8月までの間、午前8時半から遅い場合は午前3時まで、極めて低い賃金で縫製作業に従事した。休日は月に2、3日だった。
一審判決は業者に未払い賃金計約1280万円の支払いも命じ、確定した。(2010年9月13日 共同通信) 


中国人残業代未払い社長を書類送検 島原労基署
 中国人の技能実習生に時間外労働の割増賃金を支払わなかったなどとして、島原労働基準監督署は2日、労働基準法違反(割増賃金の不払い)の疑いで、島原市南柏野町の下着縫製会社「リズミック」と同社社長(63)を書類送検した。  
 送検容疑は、同社は国の外国人研修・技能実習制度で来日した中国人技能実習生5人に対し、昨年4月から9月にかけて合計2309時間の時間外労働、360時間の休日労働をさせ、割増賃金計約210万円を支払わなかった疑い。約210万円のうち最低賃金の時給628円(当時)を下回る時給400円で計算した約105万円しか支払っていなかった。社長は容疑を認めているという。
  5人は今年2月、同社などを相手に未払い賃金と損害賠償など約4500万円を求め、長崎地裁に提訴。同社は昨年12月中旬、操業を停止し、自己破産を申請。今年7月、破産開始手続きの決定を受けた。 
(2010年9月7日 長崎新聞


外国人研修生:受け入れに「1人20万円」裏手数料
 国の外国人研修・技能実習制度を巡り、研修生の受け入れ団体「レインボーブリッジ事業協同組合」(大阪市)の前理事長(78)が、中国側の送り出し機関から、帳簿類に記載しない「仲介手数料」を受け取っていたことが分かった。受け入れ団体が研修生から手数料を徴収することは省令などで禁止されているが、前理事長は「研修生1人1万5000元(約20万円)」とする“裏契約”を中国側と締結。在任中、少なくとも約40人の中国人研修生を受け入れ、約800万円を受領していたとみられる。
一方、中国側は手数料を捻出(ねんしゅつ)するために、研修生から1人3万元(約40万円)を徴収。うち半分を前理事長に渡していた。
研修生を受け入れる日本企業は前理事長側があっせんしており、手数料にはその謝礼の意味合いがあるとみられる。
法務省入国管理局は「研修生本人からの手数料徴収は直接・間接的を問わず禁止されており、不正な利益にあたる。また、入管に提出した契約書とは別の『裏契約』を結んでいた場合は、虚偽申請になる」と説明。実態調査に乗り出す方針だ。前理事長は毎日新聞の取材に「取材には答えられない」としている。
レインボー事業協組は06年7月、前理事長が設立。中国の複数の送り出し機関と契約を結んで中国人研修生を受け入れ、これまで計約15社に派遣。組合は経費として、受け入れ企業から1人月約4万円の監理費を受け取っている。
組合の内部資料や関係者の証言などによると、こうした正規の業務契約とは別に、前理事長は、組合名で複数の送り出し機関と「基本協定書」などの契約を締結していた。「両国の友好交流を目的」とした上で「研修生から徴収した手数料を国内経費として1人1万5000元支払う」などとする内容。前理事長が在任した08年11月までに、裏契約に基づいて少なくとも約40人が入国したという。
組合側の調査などによると、前理事長は裏契約で得た金を、中国にある個人口座に振り込ませたり、手渡しで受け取るなどしていた。金は組合の帳簿類には記載されず、前理事長が個人で使っていた可能性が高いという。
前理事長は08年11月、金銭管理などに問題があったとして理事長を解任された。後任の理事長らが調査する中で、今回の不正が発覚した。(2010年8月23日 毎日新聞)


大阪の受け入れ団体、手当82万円使い込み

 国の外国人研修・技能実習制度を巡り、研修生の受け入れ団体「レインボーブリッジ事業協同組合」(大阪市)が中国の送り出し機関と「裏契約」を交わしていた問題で、同組合が中国人研修生5人の研修手当計82万円を使い込んでいたことが、関係者の証言で分かった。また企業から預かった別の研修生の残業代約100万円を支払っていなかったことも判明。いずれも「裏契約」を主導した前理事長(78)在任中に発覚したという。
手当を使い込まれたのは07年12月に中国・山東省から来日し、組合を通じて大阪市内の会社で働くようになった20代の女性5人。
女性らは会社から、生活費のための研修手当(月6万円)を毎月受け取っていたが、組合の前理事長が6万円のうち4万円を定期預金するよう女性らに指示。08年1月から毎月4万円を組合で預かり、預金の通帳も組合で管理していた。ところが同年11月、女性らが残高不足に気づき、組合側の使い込みが発覚したという。5人の預金で計82万円が不足していた。

 一方、残業代未払いがあったのは奈良県の食品関連会社で研修していた中国人男性8人。8人は05~06年度に来日。当時は組合設立前だったが前理事長らが仲介したという。
労働法規が適用されない研修生は残業が認められていないため、食品関連会社は前理事長側との取り決めで、残業相当代金を「顧問料」名目で前理事長の個人口座に入金。前理事長側が研修生に渡す約束だった。(2010年8月23日 毎日新聞)


労働審判:未払い残業代176万円求め、中国人実習生ら申し立て /熊本
外国人研修・技能実習制度を利用して来日した中国人実習生ら5人が5日、勤務先の「九州条鋼加工」(北九州市八幡西区)の甲佐町の工場に、最低賃金との差額に当たる未払いの残業代計約176万円を求める労働審判を熊本地裁に申し立てた。代理人によると、実習生らによる労働審判の申し立ては県内で初めてという。
申立書によると、5人は07年6~11月に研修生として来日。同社は制度上必要な研修を実施せず、時給500円で換算した残業代は支払うことを約束したものの、最低賃金による支払いは拒否したという。技能実習を終え帰国した2人には時給500円で換算した残業代を既に支払ったとされる。同社は「申立書を見ていないのでコメントできない」としている。(2010年8月10日 毎日新聞)

中国人実習生、未払い賃金など2700万円求め 鹿児島地裁提訴
 外国人研修・技能実習制度で来日し、不当な低賃金で長時間労働を科せられたとして、中国人女性3人が29日、枕崎市の縫製会社と受け入れ機関の南日本アパレル協同組合(薩摩川内市)、制度を運営する財団法人国際研修協力機構(JITCO)を相手取り、未払い賃金や損害賠償など計2700万円の支払いを求める訴訟を鹿児島地裁に起こした。
訴えているのは、管衛華さん(32)、孫麗娟さん(32)、顧紅梅さん(31)。3人は中国の仲介業者にそれぞれ約60万円を支払い、2007年3月に来日した。3人ともこの縫製会社で3年間働き、今月31日に帰国する。給与は残業代を含めて月額約10万円だったという。
訴状によると、会社は1年目の研修期間に義務付けられている日本語教育などを実施せず、県内の最低賃金以下の報酬で長時間労働を強いた。時間外労働は、1か月に平均180時間に上る。また、逃亡を図らないようパスポートと外国人登録証を取り上げて自由を制約し、強制的に管理しようとした。協同組合やJITCOは、監督・指導責任を怠った、としている。
記者会見で、孫さんは「私たちも同じ人間。差別せずに同等に扱ってほしい」と訴えた。顧さんは「今更、日本に対する感情は何もない。日本の技術や日本語を学びにきたのに……」とうつむいた。
外国人研修生問題弁護士連絡会(研弁連)によると、外国人の給与未払いなどで係争中の事案は、今回以外に22件あるという。熊本地裁では今年1月、総額3580万円の給与未払いなどを求めた訴訟で、会社などに対し、研修生の中国人女性4人に約1730万円を支払うように命じる判決を言い渡した。現在、控訴審で争っている。
(2010年3月30日 読売新聞)

中国人5人、長崎の縫製会社に未払い賃金求め「仲介業者も責任」提訴  動画 NBC長崎放送

 最低賃金を下回る金額で長期間残業させられるなどの人権侵害を受けたとして、長崎県島原市内の下着縫製会社で働いていた中国人女性5人が15日、 同社や仲介業者らに未払い賃金や慰謝料など計約4400万円の支払いを求める損害賠償請求訴訟を長崎地裁に起こした。原告弁護団によると、同種訴訟で送り 出し側の仲介業者の責任を求めるのは初という。
 訴えられたのは、縫製会社「リズミック」▽1次受け入れ機関の雲仙アパレル協同組合(長崎県雲仙市)▽中国人を日本側に仲介した企業、上海世華貿易(福岡市)▽外国人研修生の受け入れ支援などをする財団法人国際研修協力機構(東京)--の4法人、団体とその代表者ら。
 訴状によると、5人は中国籍を持つ21~27歳で、外国人研修、技能実習制度により、06年12月~07年10月に来日後、縫製会社で就労した が、会社に逃亡防止のために旅券、通帳、印鑑を取り上げられた。さらに2年2カ月~3年にわたって低賃金で労働させられたとしている。また、就労先で体を 触られるなどのセクハラを受けた原告もいるという。
 5人の残業時間は多い月で180時間以上に及ぶこともあり、残業代は長崎県の最低賃金(時給約620円)を下回る時給300~400円だった。
 5人は昨年10月に低賃金で残業させられているとして、島原労働基準監督署に労働基準法違反の申告書を提出。同労基署が労働実態調査を続けている。
 就労先企業による不法行為などを是正する責任を問われた国際研修協力機構の担当者は「訴状も届いておらずコメントできない」と話した。
(2010年2月16日 毎日新聞)

中国人研修生に劣悪労働、縫製2社に賠償命令

 外国人研修・技能実習制度で来日し、劣悪な条件で働かされたとして、中国人女性4人(22~25歳)が、熊本県天草市の縫製会社2社(共に廃業)と受け入れ機関などを相手取り、未払い賃金や慰謝料など計約3580万円の支払いを求めた訴訟の判決が29日、熊本地裁であった。高橋亮介裁判長は、2社と受け入れ機関に計約1730万円の支払いを命じた。原告弁護団によると、同様の訴訟で受け入れ機関の責任を認めたのは全国初という。
賠償を命じられたのは、縫製会社と、研修生受け入れのため事業者が設立した「プラスパアパレル協同組合」(熊本県小国町)。制度を支援する財団法人国際研修協力機構(東京都)に対する訴えは棄却された。
4人は中国・山東省出身で2006年4月と7月に来日。1日約13時間働き、休日は月1日程度で、給料は最低賃金以下だったと訴えていた。
高橋裁判長は「『研修』とは名ばかりで実態は労働者だった」と指摘。研修1年目は禁止されている時間外労働もあったとした上で、県内の最低賃金額を適用し、未払い賃金や残業手当などとして約1290万円、慰謝料などとして440万円の支払いを命じた。
また経営者が4人の預金通帳や印鑑を管理していたことは労働基準法で禁止された「強制貯金」にあたるとし、逃亡を防止しようと旅券を預かったことも「違法な労働状態を助長する」とした。
受け入れ機関については、「違法な就労や管理が行われていないか適正に監査すべきだったのに何も指導しなかった」と不法行為を認めた。
(2010年1月30日 読売新聞)

給料払え!~日本で3K労働従事の中国人研修生の現状

 「よい新年を迎えたいが、日本の社長よ・・給料を支払え!」
日本語と中国語で書かれた横断幕を掲げ、10名の中国人研修生が日本の会社を訴えた。彼らは2009年1月から給料が未払いだという。研修生の名目で日本で働く中国人の実態を広州日報が伝えている。
日本国内の労働力不足を補うために推進されてきた開発国からの外国人研修制度。研修1年、実習2年の3年の派遣だが実態は3年間の低賃金雇用だ。現在日本には約20万人の外国人研修生がいるがその7,8割が中国人だ。
2007年1月、中国東北部からの研修生10名は月給13万5千円(約9900人民元)で健×株式会社と契約を結んだ。しかし2009年1月から給料の未払いが始まった。会社はたびたびの催促にも応じないためついに10名は立川労働基準局に訴えた。すると会社は「労働基準局に行ったなら、もう出社するな」と言い、同年9月3日から11月9日までは仕事ができなかった。
12月30日10人は「よい新年を迎えたいが、日本の社長よ・・給料を支払え!」と書いた横断幕を掲げ行動に出た。
この事態を受け中国大使館の許澤友総領事は日本側に事態の速やかな解決を促し、日本新華僑法律事務所は10名とともに法的手段に乗り出す構えだが、いまだ解決にいたっていない。
「今は一日一食、ほんの少ししか食べられません。本当に辛い。日本で餓死しろというのですか。早く正当に解決してほしい」研修生たちは切実に訴えている。
この事件は珍しいことではない。給料の未払いのほかにも研修生たちはさまざまな不当な扱いを受けているという。
同じ労働でも給料は日本人の4分の1。日本政府は夜間の残業代は時給125%計算と決めているが、実際には残業代を支払わなくても問題にならない。研修生の蒸発をふせぐためという名目でパスポートを取り上げる。
事故防止という名目で休日でも自由に外出できない、などだ。研修生の多くは日本の若者が嫌う3K(きつい、危険、汚い)の職場で働いている。現場での不満から雇用側との関係も緊張したものになりやすいという。
日本では不況で失業者があふれているという報道の影に、このような事実があるということはあまり報道されていないようだ。
(2010年01月08日 広州日報)

在日中国人研修生の給与未払い事件、中国大使館が介入

 昨年12月30日、給与不足の中国人研修生10人が中国語と日本語で書かれた横断幕を掲げた。
日本の一般家庭が年越しの準備に慌ただしく過ごしていた昨年12月30日、中国東北部から日本に来た研修生10人が宿舎に、「よい新年を迎えたいが、日本の社長よ、給料を払え!」と中国語と日本語で書かれた横断幕を掲げた。
この日本の企業が研修生10人に対して未払いの給与総額は70万元近くに達する。1人当たり7-9万元だ。幾たびにもわたる交渉を重ねたが、6日現在、問題は未解決のままとなっている。在日中国大使館は今回の事件を極めて重視しており、既に積極的な介入を開始している。
この中国人研修生10人は2007年1月、健陽株式会社に実習に訪れた。研修生らは全員、同社と雇用契約を締結、契約書には毎月の給与は13万5千円(約9900元)と明記されていた。しかし昨年1月から、会社側は契約通りに給与を支払わなくなった。
研修生10人が給与を請求しても結果は得られず、やむを得ず立川労働基準監督署に相談に行くと、っこの会社のある営業所の責任者、藤原明氏は、「君たちが労働基準監督署に行った以上、もう会社には来なくてもいい」と言った。9月3日から11月9日まで、彼らは仕事に就かなかった。
中国人研修生10人のうち、最年長は27歳、最年少は23歳。研修生のひとり、韓鉄成さんは語る。「いま、自分達は毎日一食しか食べていない。おなかがすいている。とても悲しい気持ちです。このひもじさは言い表すことができない。日本で飢え死にするんでしょうか?」
新年の初日、在日中国大使館、中日研修生協力機構、中国企業駐日事務所などの代表が給与未払いに悩む研修生達の見舞いに訪れた。在日中国大使館の許沢友・総領事は5日、大使館は今後日本企業側に対して、事件の妥当かつ合理的な解決を求めると述べた。
日本には現在、外国人研修生、実習生が約20万人おり、そのうち7-8割を中国人が占めている。研修生、実習生は日本の「3K(危険、きたない、きつい)」産業の底辺を支えている。今回の中国人研修生給与未払い問題は決して特別な事件ではない。日本に滞在する中国人研修生の増加に伴い、3つの普遍的な問題が浮かび上がっている。第一に、研修・実習期間の補助および給与が低い。第二に、企業によるピンハネ、給与未払いが深刻である。第三に、研修生の人身の自由を制限する状況が一般的にまかり通っている。(編集HT)
(2010年01月07日 人民網日本語版)

労働局勧告 外国人実習生166人に1億円 

 岐阜県内の48事業所が2008年度、岐阜労働局の是正勧告に従い、就労している外国人技能実習生166人に対し、最低賃金や残業手当など計約9972万円を支払っていたことがわかった。支払額は前年度より約3780万円増えた。このうち2事業所は管轄する労働基準監督署の再三の是正指導に従わず、労働基準法違反、最低賃金法違反の疑いで書類送検された。 
同労働局によると、外国人技能実習生が就労する106事業所のうち、74事業所で労働基準法違反などが確認され、是正勧告した。主な違反内容は、残業手当の未払いが50件と最も多く、次いで労働時間20件、賃金未払い19件、最低賃金17件など。48事業所が是正勧告に従って支払った実習生1人当たりの平均額は約60万円だった。
養老町の元縫製業者は07年7月~08年5月、中国人技能実習生2人の賃金と残業手当を基準より低く抑え、1人当たり総額約98万円を支払わなかった。また、岐阜市の縫製業と同社社長は07年12月~08年4月、中国人技能実習生3人に対し、同様に1人当たり約70万円を支払わなかった。
県内で就労する外国人技能実習生は約9100人で、愛知県に次いで全国2番目。同労働局は「賃金や残業手当未払いの約9割は、実習生自らの申告で明らかになった。事業所は労働者の権利を守ってほしい」としている。
(2009年12月3日 読売新聞)

【中国ブログ】熊本殺傷事件、中国人研修生の関与にネットの声は

 熊本県植木町で8日、中国人研修生と夫婦2人が死亡、女性1人が重体となる事件が発生した。死亡した夫婦は22歳の中国人男性を7月下旬から農業研修生として受け入れていたという。警察は9日朝から殺人事件として現場検証を行い、中国人研修生が3人を襲った後、自殺を図った可能性が高いとみて殺人容疑で調べている。
中国人研修生が関与している可能性がある当事件は中国でも報じられ、大きな注目が集まっている。中国最大の検索サイト「百度」のBBS(掲示板)にも当事件の詳細が転載され、多くのユーザーがコメントを寄せている。
コメントでは、「中国人研修生が夫婦を殺害した後に自殺したということか?」「調査結果を待つほかない」「日本人ネットユーザーがどのように発言しているかを報じたニュースを目にした。それによると、日本人ネットユーザーは『犯罪率が上昇するから、中国人研修生は歓迎できない』と無礼な発言をしているという。しかし、中国人研修生はわずかばかりの給料でこき使われているのだ。問題の根源を知りたければ、日本政府に聞くべきだ!」といった意見が寄せられていた。
また、「国連の機関である国際労働機関(ILO)は、日本の研修生制度は一種の人身売買だと指摘し、日本に対して制度の即刻中止を要求しているが、私もこの意見に賛成だ。中国人自身も国外へ出て金を稼ぐという夢を持つべきでない。中国国内で仕事を見つけることができないなら、外国でも仕事にありつくことはできないだろうし、中国人は祖国に残って、祖国への貢献をすべきだ」とする冷静な意見も存在した。(編集担当:畠山栄)
(2009年11月11日 社会ニュース)

2企業に損害賠償請求 研修の中国人「実態は労働者」

 研修受け入れ先企業で研修を受けることができず、最低賃金法を下回る低賃金で単純労働をさせられたとして、西尾市内の中国人の男女3人が9日、同市内の2企業を相手取り、違法行為で失った賃金の支払い不足分に相当する約464万円の支払いを求める損害賠償請求訴訟を名古屋地裁岡崎支部に起こした。 
訴状などによると、3人は日本の企業で技術研修を受けるため来日、2006年6月から1年間、男性2人は染色会社で、女性は織布会社で研修を受ける予定だった。しかし、実際には入国管理局に提出された日本語などの研修計画は実施されず、繊維を折り畳む単純作業などをさせられた。
これらの実態は研修生ではなく、労働者として判断されるべきで、最低賃金法が適用されるとして提訴に踏み切った、という。
提訴に関して、織布会社は「弁護士と協議して対応したい」とし、染色会社は「社長が不在でコメントできない」という。
(2009年9月10日 読売新聞)

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